子供の親権とは

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よく耳にする言葉でありながら、いまいち正確に分からないと感じている方が多いのが親権ではないでしょうか。離婚してから子供と一緒に暮らしていくために必要であるとは理解していても、それ以上は分かっていないかもしれないので、まずはそこから見ていきましょう。

子供の親権とは、身上監護権と財産管理権から構成されています。身上監護権は簡単な言葉にすると子供を保護し、教育や身の回りの世話をするもので、さらに細分化すると教育権や居住指定権、職業許可権、懲戒権に分けられます。親として子供を育てる権利と責任と言えば分かりやすいでしょう。

財産管理権は名称の通り、子供の財産を管理する権限で、契約の同意や取り消しを行えるほか、法定代理権を持ちます。

なお、親権とは権利だけを定めているわけではなく、義務や責任でもある一面を持っています。子供が幼いうちであれば誰かが面倒を見なくてはならないので、離婚してから両親のどちらがその責任を負うかを定めた取り決めでもあるのです。

結婚していれば、民法第818条2項によって、子供の親権は父母が共同して持つと定められており、一般的には意識する機会はないものの、親としての責任を果たしていれば問題ないものの、離婚するとなれば、一方を指定しなければなりません。

なお、子供が2人以上いる場合、父親か母親の一方が全員の親権を持つ必要はないため、たとえば長男は父親で長女は母親といったように分担してもかまいません。

親権者が決まらない場合の調停

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離婚の際に話し合いでどちらが親権を持つかを取り決められれば問題ないのですが、話がまとまらない場合もあります。このような場合には、家庭裁判所で調停の手続きができます。

別れようとしている状況においては、どうしても夫婦の間で感情が入ってしまうため、親権についても冷静に交渉できなくなってしまいがちです。しかし、子供の問題は重要なので、第三者に入ってもらって調停という手続きを取るのです。

家庭裁判所で調停をする場合にはあくまで話し合いなので、どちらも譲らない場合には結果が出ません。したがって、残念ながら調停は万能な方法ではないため、時には裁判に持ち込まなくては結果が出ない場合もあります。

親権の問題を解決できないと離婚も成立しないため、結果を急ぐのであれば、やはり調停に持ち込むのは有力な選択肢でしょう。せっかく法的に制度が用意されているのだから、それを無視して強引に父母の間での交渉だけにこだわる必要はありません。

親権を得るのに有利・不利な立場

離婚の際に互いの協議で結果が出ず、調停や裁判になったには親権を奪い合うことになります。条件によって、有利になったり不利になったりするので、事前に見込みを立てておかないと手遅れになってから悔やむことになりかねません。

条件は子供の年齢によっても異なります。幼い子供の場合には意思が曖昧で判断能力が乏しいため、本人の意思はあまり尊重されません。身の回りの世話が不可欠なため、母親が有利になりがちで、仕事に忙しい父親は不利な傾向にあります。

年齢が上がってきて15歳以上になってくると、子供にも自我や意思がしっかり確立されるため、その思いを大切にして決定される傾向があります。

その間の年齢の場合には、これまでの生活状態や経済状態、監護の姿勢、子供の気持ちなどを総合的に判断されます。

子供の年齢に関わらず経済力は重要な要素なので、ある程度の所得があったほうが離婚の際に親権を勝ち取るために有利です。親子2人で暮らしていくだけでも生活費はそれなりにかかるうえ、教育費は決して安くないため、安定した収入がないと、離婚後の生活が困窮してしまい、十分に育てていけない場合もあるためです。

ただし、お金があれば親権を獲得できるわけでもありません。たとえば、仕事が忙しくて家庭生活に十分な時間が避けない場合には不利に働きます。特に子供が自分の身の回りの家事ができる年齢でなければ、この傾向は顕著です。

離婚の前から両親が別居している場合には、一般に子供と同居している側が有利です。すでに一緒に暮らしているという既成事実が存在するため、その生活がうまくいっているのなら、その状態を継続するのが望ましいと判断される場合が多いためです。

子供と一緒に暮らしていても、十分な監護ができないと認められるような場合にはかえって親権の獲得に不利になる場合もあります。既成事実が逆効果になる危険もあるのです。離婚すれば別居の際と同様に配偶者からのサポートは期待できないため、その後の生活が成り立つ見通しが求められます。

調停や裁判では子供の利益や福祉が考慮されるものの、個別の家庭の事情について察するのは限界もあるため、ある程度定型的なポイントを重視せざるをえない性質を持っています。そのため、本気で親権が欲しいのなら、それを客観的に証明するための材料が求められます。たとえば会社に希望を出せば残業を減らせると主張するなら、離婚の前に実績を作っておいたほうが説得力が増すでしょう。

親権と離婚後の生活

離婚に際して親権を得られなかった親も、子供の親であることに変わりはないので扶養義務が消えるわけではありません。そのため、養育費を支払うと取り決めるケースもあるわけです。特別な取り決めがない限り、子供と会うのにも問題はありません。

また、親権と戸籍は別の問題です。そのため、親権者と子供は必ずしも姓が一致するとは限りません。もっとも、一緒に暮らすため、実際には同じ苗字にするケースが多いものの、別々にできないわけではありません。

離婚をする際に養育費や慰謝料だけではなく、子供と定期的に会う約束などをしておくと、お互いに不安定な状況に置かれなくて済みます。別れた後にまで揉めたくはないでしょうから、あらかじめ芽を摘んでおくことをお勧めします。

親権の変更

離婚の時の取り決めは絶対的な効力を持つわけではなく、一定の条件を満たせば親権を変更できると民法に定められています。まずは関係する条文を見てみましょう。

子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。(民法第766条2項)

子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。(民法第819条6項)

このように、民法によって親権の変更は認められているものの、相当の理由がなければ認められないため、簡単に行えるわけではありません。なお、子供には申し立ての権利はなく、父母や子供の親族のみが申立人になりえます。

親権の変更が認められ、家庭裁判所から調停調書や審判書をもらったら、入籍届とともに市区町村の役所に提出して戸籍の変更をします。