すでに夫婦としての実態は有していないものの、一つ屋根の下で一緒に暮らしている状態を家庭内別居と呼びます。ささいなきっかけで喧嘩をして一時的な冷戦状態になっている場合もあれば、離婚の前段階のケースも数多く存在します。
家庭内別居にはいくつかの種類があります。たとえば、離婚をするほどの決意がないものの、夫婦としての仲が冷え切っている場合、経済的な自立ができないために一緒に暮らしている場合、子供がいるために仮の姿として同居している場合が多いでしょう。
最終的にどのような結末に発展するかについてもいくつかのパターンがあります。それぞれの場合に分けて見ていきましょう。
家庭内別居から離婚へ
特に離婚に障害となる問題がない場合には、同居しながらも険悪な状況が続いた後、結局別れるパターンがあります。この場合には、家庭内別居は最終的な決断を下すまでの準備期間という位置づけになるでしょう。その間に考えをまとめ、結論を出すことになります。
一方が経済的に自立できないために離婚を切り出せないでいる場合には、家庭内別居をしながら職を探してお金の問題を解決してから別れる場合もあるほか、夫が定年退職したのをきっかけに熟年離婚をして第二の人生を歩き始める場合もあります。
子供のために同居を続けているケースでは、子供の成人や自立によって家庭内別居を解消し、離婚に踏み切ることも珍しくありません。幼い子供がいれば心の傷を懸念しても、大人になっていればそれほどの影響はないため、それまでは夫婦の一方が耐え忍んでいるというパターンです。
家庭内別居からの復縁
一時的に会話がほとんどなくなるようなことがあっても、再び距離を縮めて復縁できる場合もあります。多かれ少なかれ、長年夫婦として連れ添っていれば、揉める時もあるでしょうから、いかにして長引かせないかが重要です。
意外にも、家庭内別居の時期を通じてお互いを思いやる気持ちが育まれたという声もあるものの、離婚に発展してしまうケースもあるため、あまり悠長に構えているわけにはいきません。自分にはそんな気がなくても、相手は別れを決意しつつある可能性もあるので、コミュニケーションが断絶した期間が継続するのは望ましくありません。
復縁のためには一方が歩み寄るほかに、子供や家庭外の第三者がきっかけを作って関係が修復される場合もあります。基本としては、やはり自分から折れる姿勢が必要でしょう。
家庭内別居からの打開策
まずは会話から始めてみましょう。コミュニケーションを取っていないと、時間の経過によって、ますます溝が深まってしまいます。そうならないように、ちょっとした話でもいいので、まずは言葉を交わしてみましょう。
本題に入って今後の生活について話し合う時には、譲歩の気持ちを先に示してください。お互いに意地になってしまったら、進む交渉も中断されます。そのため、まずは自分が一歩引く姿勢が大切です。
しかし、どれだけ話し合っても復縁できないケースもあります。そんなときには、思い切って家庭内別居ではなく、本当に別の家に暮らす期間を設けてはいかがでしょうか。近くにいるから気に障る部分もあるので、遠くで生活してみると、冷静になれる場合があります。
冷却期間を置くのはよいものの、勝手に出て行くと離婚の原因になりかねないので、あくまで話し合って合意を取り付けなくてはなりません。簡単ではないかもしれませんが、相手が離婚の申し出をしてきた場合に、このようなプロセスを踏んでおくのは大切です。悪意の遺棄とされるような場合には、別れる際に不利に働くことになります。